こんにちは、Tomoです。今回は、株式会社ボーンデジタル主催のHoudini Tshirts Contest 2021で優勝した際の制作プロセスについてお話しします。このコンテストは、Houdiniのプロシージャルデザインを活用し、Tシャツデザインを競うものです。当時の私にとってHoudiniはまだ使い始めたばかりのツールでしたが、このプロジェクトを通してその可能性に触れることができ、大変貴重な体験となりました。
背景とインスピレーション
私のデザインのインスピレーションは、鉱物的な金属感や透明感、溶鉱炉のような空気感です。もともと建築設計事務所で有機形状の高層ビルを設計しており、現在はVR背景制作なども手掛けています。このバックグラウンドが、私のデザインへのアプローチに大きく影響を与えています。
2020年からTシャツデザインの構想を始めましたが、当時は2次元の構図を中心に考えていました。しかし、Houdiniのプロシージャルな可能性を活用する中で、より3次元的な表現がデザインに適していると感じ、方向性を転換しました。結果として、「有機的な形状で螺旋を作る」というテーマを設定し、制作に挑みました。
制作プロセス
デザインの核となるのは、Houdiniのプロシージャルデザインの特徴を活かした「ボロノイ螺旋」です。以下、制作のポイントをいくつかご紹介します。
- 螺旋のデザイン
Tシャツデザインの主役となる螺旋は、Houdiniのパーティクルとボロノイ分割を活用して制作しました。奥行きを持たせるため、前面と背面で異なる螺旋を配置し、透け感を表現しています。 - 有機的なテクスチャと形状
螺旋には鉱物的な要素を取り入れるため、複数のアトリビュート(属性)をランダムに付加し、テクスチャと形状を調整しました。有機的な質感を出すために、スムージングやレンダリングの際の光の設定にこだわりました。 - 色とコントラスト
使用した色は、Houdiniのテーマカラーである「オレンジ」と「モノクロ」の2色に限定しました。さらに、黄金比を意識した構図を採用し、視覚的なバランスを整えました。 - ライティングとレンダリング
最終的な仕上げでは、PBRレンダリングを用いて光の拡散や透明感を調整しました。カメラのアングルや焦点距離を何度も微調整し、溶鉱炉のような空気感を演出しました。
コンテストで学んだこと
今回のプロジェクトを通して感じたのは、Houdiniの可能性の広さです。プロシージャルデザインの力を借りて、複雑なジオメトリを効率的に制作できる点に感銘を受けました。また、普段は建築やVR背景制作に使用していたスキルを、Houdiniの新しいツールと組み合わせることで、これまでにない表現ができることを実感しました。
最後に
このコンテストのデザインは、鉱物的で透明感のある螺旋をテーマに、私の背景やスキルを活かした作品です。今回の経験を活かして、今後もHoudiniを使った新しい挑戦を続けていきたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました!